<Header>
<Author: 衛萬>
<Title: 吳宮怨>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 漢文無假名>
<style2: 日本漢文訓讀無假名標注>
<TranslatedTitle: 吳宮怨 >
<BookPage: 138>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
君不見吳王宮閣臨江起，
不見珠簾見江水。
曉氣晴來雙闕間，
潮聲夜落千門裏。
句踐城中非舊春，
姑蘇臺下起黃塵。
祗今唯有西江月，
曾照吳王宮裏人。
<End Poem>
<Translation>
まあ、ごらんなさい、あの吳王の宮殿樓閣が川ぞいにそびえているのを。ここの高殿の上から眺めると、珠のすだれをまきあげなくても、その下から、ちらちらと、水の流れが見えるのです。ここは非常に高いからです。 
夜明けともなると、東の晴れた空の光が、高い雙闕の甍に映って、ほのぼのと白み そめてきます。夜ともなると、ここは水の都とたたえられたところだから、あたりが 静かになって、潮の落ちてゆく音が宮中の千門、たくさんの門に反響して聞こえます。 廣大なかまえの、この宮殿！しかしそれは昔の夢でした。 
この國をほろぼした越王句踐の會稽さえ、今は跡方もなくなって、昔の春の さまをしのぶことはできません。まして、この吳の國の最後の王、夫差が、句踐の軍隊に包園されて自殺したという姑蘇臺は、黄色い塵がまき起こっています。ただ今あるものとては、ただ西の川の上にかかっている月。この月だけは、その昔、吳王の後宮にときめいた人―あの絶世の美女西施を照らしてきた同じ月ですが、彼女のあでやかな姿はかげもかたちもありません。
<End Translation>
<Formatted Translation>
まあ、ごらんなさい、あの吳王の宮殿樓閣が川ぞいにそびえているのを。ここの高殿の上から眺めると、
珠のすだれをまきあげなくても、その下から、ちらちらと、水の流れが見えるのです。ここは非常に高いからです。 
夜明けともなると、東の晴れた空の光が、高い雙闕の甍に映って、ほのぼのと白み そめてきます。
夜ともなると、ここは水の都とたたえられたところだから、あたりが 静かになって、潮の落ちてゆく音が宮中の千門、たくさんの門に反響して聞こえます。 廣大なかまえの、この宮殿！しかしそれは昔の夢でした。 
この國をほろぼした越王句踐の會稽さえ、今は跡方もなくなって、昔の春の さまをしのぶことはできません。
まして、この吳の國の最後の王、夫差が、句踐の軍隊に包園されて自殺したという姑蘇臺は、黄色い塵がまき起こっています。
ただ今あるものとては、ただ西の川の上にかかっている月。
この月だけは、その昔、吳王の後宮にときめいた人―あの絶世の美女西施を照らしてきた同じ月ですが、彼女のあでやかな姿はかげもかたちもありません。
<End Formatted Translation>